♪♪忘れじの君♪♪
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catedral わたしの町

torrevrt
 私の住む町はアグアスカリエンテスと言う長ったらしい名前の町で、観光資源はなく、土地の人達には申し訳ないが、何の変哲もない町だ。
 だが、それが私には気に入っている、何故なら、私の大事なところをこの地に根をおろす積もりのない人々に面白可笑しく語られるのは嫌だから。
市庁舎柱廊から見たカテドラル
中央広場のシンボルタワー(鷲)

地 理・気 候
 この町はメキシコシティーから北西に約600km、国土のほぼ中央にあり、地図上は北回帰線のやや南の北緯21度53分、東経102度18分に位置している。
 緯度的には香港とほぼ同じ、と言うとさぞ暑いところと思われるかも知れないが、標高が1,870m<(上高地よりも高い?)なので涼しく過ごし易い。
 年間の平均気温は18度前後、日中最低気温5度以下の日は年に7日程度、最高気温30度を越す日は同じく年に10日程度だ。
 気象ついでに雨にふれると、年間雨量はこの50年間の平均が512mmだが、この地で年間雨量はあまり意味がない、つまり他の地域同様、乾季と雨季があるからだ。
 乾季は11月から翌年の5月迄でこの間の月間平均は15mm前後しかなくゼロの月も3ヶ月ほどあるが、地下水のおかげで断水することはない。
 雨季に入っても南部の地方とは異なり毎日シャワーが来ると言う訳ではなく月間平均雨量も90mm程度だ。
mapa

 メキシコでは人口の多いところは殆どが高原にある。
 この町も平坦で周囲を低い山(とは言っても海抜で言えば3千から2千4百)で囲われた高原の盆地だ。
 右の写真は死者が仰向けに寝ているようなその形から、土地の人々が「死者の山」と呼ぶこの町のシンボルのひとつエル・ピカチョ山だ。(2,420m)
 メキシコは北に行くにつれ砂漠的地域が多くなるが、この町のあたりが緑豊かな中央高原との分岐点に当り、ここから北にドライブすると集落と集落の間には赤茶けた荒れ地が延々と続く。
 この盆地内の約53%が農地と牧草地、29%が雑草地で、かっては葡萄畑が多かったそうだが、住宅地や工業団地に変身していって今では殆ど見られなくなった。
地 勢
UAA

旧 市 街  この町は全国に32ある州の小さい方から3、4番目の州の主都。
 多くの州都は植民地時代からその地域の中心地で、町の中心部には中世ヨーロッパ都市の形を今に残しているが、ここは19世紀に入ってから現在の隣の州から分離したといういきさつからか、町の中心部には田舎町の風情が色濃く残っている。
 ここは週末こそ若者や家族連れでにぎわうが、ウイークデーの特に日中は物憂気なお年寄りたちが木陰でお喋りしたり居眠りしたりしている。
edificios
sombras
教会前の広場 州庁舎脇の中央広場への道

新 開 地  旧市街とは対照的に外環状道路沿いには新興アパート団地、大型ショッピングセンター、大型映画館等があり、近代化を急ぐ町の姿が見られる。
 写真のショッピングセンターは大型スーパーを中心にレストラン、小型店鋪群、映画館、ゲームセンター等があり、近隣の町村からも買出しにやってくる。
super

 新開地の更に外側には農地と牧場が拡がり、政府が誘致に力を入れる工業団地もある。 ちなみに、州政府は全国でも数少ない中道野党政権だ。
 州民一人当り総生産は96年の数字でおおよそ1,500ドル(1ドル=10ペソとして)で国のそれとほぼ同じだ。
 この国の産業が3大都市に偏重していることを考えると、1州の数字としては高いものだと言って良いのではないか。
 そしてその約30%は工業生産によるもので、そのまた30%強が機械加工産業で、葡萄と共にこの町を支えてきた繊維産業は従業員数(約1万7千)でこそいまも機械加工産業と肩をならべているが稼ぎの方では約三分の二と、斜陽の影が濃い。
 政府が力を入れている工業誘致のおかげでアメリカ資本のテキサス・インスツルメント、ゼロックスや日本の日産自動車など大きな工場がある。
産 業
nissan
日産自動車主工場の一部

人 々・生 活  この町には約60万の人々が生活している。
 メキシコはヨーロッパ系の白人と先住インディオの混血が8割を占めると云われている。
 これは私の単なる印象にすぎないが、この町では同じ混血でも肌の色が白によった方の人の比率が高いように見受けられる。
 45〜49歳の婦人の持つ子供が平均5人弱と言う数字から推定される通り、19歳以下の人口が46%強、逆に60歳以上は6%弱しか居ない若い人々の町だ。
 私はメキシコシティーの南にある町でも暮らしたことがあるが、そこと較べてもこの町の人々は平均的に勤勉である。
 若さと勤勉な労働力が工場誘致が成功している要因のひとつだと言って差し支えないだろう。
 自動車は10人に一台しかないが、77%の世帯が何らかの形で自分の家を持ち、上下水と電気の普及率は93%というメキシコとしてはインフラの整った環境で、年間7千人が結婚し、2万5千人の子供が生まれ、4千人が死亡し、6百人が離婚し、18万トンのゴミを出す生活がここにある。
gente
州庁舎壁画の一部、人種構成を良く表している

蛇足:
 日本ではラテン・アメリカ=中南米という変な固定概念が根強くあり、主要な報道機関ですらメキシコを中南米の国として扱っている。
 だが、地質学的にもテワンテペック地峡以南が中南米であり、メキシコの大部分はこの地峡以北にあるから北米と呼ぶのが正しい。
 米加墨による自由貿易圏「NAFTA」の最初のNAはNorth Americaであるが、ナフタ、ナフタと言っていながらメキシコは中南米というのはいかにも奇妙だ。
 ついでに言うと、「アメリカ」と言うのはコロンブスが発見したこの大陸全体を言うのであってこの大陸に住む人達にとっては「USA」のことだけではない。