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♪♪Extran~ame 私が居ないって淋しがっておくれ♪♪
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 ニューヨーク、パリあるいはロンドンの住民にとって、「死」は唇を焦がすからと決して口にしない言葉である。
 反対にメキシコ人は、死としばしば出会い、死を茶化し、可愛がり、死と一緒に眠り、そして祀る。
 それは彼等が大好きな玩具の一つであり、もっとも長続きする愛である。
(Octavio Paz「孤独の迷宮」の一節)
死者の日
第一章 お迎え

 毎年10月も半ばを過ぎると、家々の入り口で御先祖様を迎える支度が始まる、11月1、2日は死者の日だ。
 こう聞くと恰も日本のお盆かお彼岸のように聞こえるが、供え物や飾り付けを見るとどうも様子が違うことに気がつく。
 ハローウイーンでお馴染みのカボチャ提灯のみならず、髑髏や骸骨が必ずあるのだ。
calavera

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この前で宴がはられる
レースの様な飾りは切り紙細工
クリスマスの感覚の飾り付け
故人は呑兵衛だったのだろうか

ninos1  やがて10月31日の夜になると親戚の集まる家が目につく、死者の日の前夜祭だ。  子供達はカボチャの顔をした容器を持って近所の家々を まわる、玄関先で「ハロウイン頂戴!」と声を揃えて叫び飴等を貰って歩く。  富裕層の住宅団地では、仮装をしてやってくるのが殆どだ、親がワゴン車に満載して押し寄せてくるグループがあったりして、二晩で百人をこえる年もある。  ある年、家の明かりを消して居留守を決め込んだら、ドアに見事に生卵をぶつけられた。 ninos2



 墓地の前には一週間ほど前から市がたつが、ここに一歩足を踏み入れるとメキシコ人の持つ「死者の世界」に対するイメージがいかに我々と違うか分かる。
 彼等によれば、故人が安眠するあの世とは蓮の花の香りがただようところではないようだ。
 第一章で見て来たものと、この市で見るものから推定する限り、そこはオカルトの世界のように思われる。
第二章 あの世はオカルト

 まず、市の入り口のゲートの上には、頭にナイフの突き刺さった血だらけの男が右手に生首をぶら下げている。
 その腕が、電気仕掛けで右に左にと揺れ、足下にはこれ又血まみれの生首が三つ転がっている。
 更に、そのうちのひとつを血まみれのネズミが齧っているではないか。  これで、出来がリアルであれば身の毛がよだつところだが、故意か偶然か出来が悪く滑稽なところが救いとなっている。

cabezas
 屋台で売られているものは殆どがホラー映画の怪物のマスクとか、ゴム製の吸血蝙蝠、毒蜘蛛、さそり、とかげ、蛇、蛙といったうす気味悪いものばかりだ。
 ミニチュアの棺桶から出ているヒモを引くと覗き窓から死人が首を出す、というようなカラクリおもちゃもある。
 髑髏の形をした砂糖菓子を齧る子供達を見ると、頭が混乱してしまう。
 ところが、さらに屋台を覗いていくと、また混乱させられることがある。
 老婆が売っているのは「香」だ、樹脂を多く含んだ木片に過ぎないが、炭火にくべて煙りを立てるのは死者を迎えるためだと言う。
 線香の煙りと仏像、香の煙りとドラキュラー、そこに共通項を求めようと言うのは所詮無理なのか。
mascaras juguetes dulcecalavera incienso

第三章 墓参り
 さて、いよいよ死者の日の当日、墓地は人々でにぎわう。  集まる人々は殆どが明るい色の普段着だ、それが紺碧の空のもと、やや柔らかみを帯びはじめたとはいえ南国の明るい陽の光のもとではとてもよく似合う。

 墓地の形態は様々だ、上の写真は旧市街のものでかなり立て混んでいるが、下左、右端のは郊外のものでかなりゆったりしている。
 また墓地にまで階層社会は反映されており、下中央のようなアパート形式のものもある、然しここにも大きな花環が供えられているのには救われる。
 いくつかの墓前では、墓前で故人とともに飲食するグループも見られる。
gente departamento ofrenda sombrillas

 墓地のあちこちから、楽の音が聞こえてくる、故人を偲んで流しのバンドに演奏させているのだ。  故人の好みにあわせられるよう、マリアッチ、トリオ、トロピカルと、いろいろなバンドがいる。  メキシコならどこでも聞かれるような賑やかな曲なのだが、明るい空に吸い込まれて行く所為か、やや物悲しく響く。  見れば、未亡人であろうか顔にハンカチをあてがって啜り泣いている婦人がいる(下左)。  亡夫の好物であったのだろう、フルーツポンチのカップが二つ用意されている、テキーラでないところが涙をさそう。
mariachi banda tropical


終  章
かくして死者の日も幕を閉じる。
古代メキシコ人の宇宙観とキリスト教思想が混ざりあって出来上がった祭だと言うが、
亡夫の思い出に涙する未亡人の夫がオカルトの世界にいるとはどうしても信じられない。

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