♪♪Sabado Distrito Federal 土曜日に首都で♪♪
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日本の新聞を見なくなって久しい。 IT時代にどのように変貌しているのだろうか。  この地にもITの波は確実に押し寄せてきている。 だが、経済的理由から、これに接することのできる人々は極めて限られており、新聞はまだ、人々が世の中の動きを知る手段の主役の座にどっかりと座っている。  そうは言っても、一部がコカコーラ代ぐらいはするから、誰でもが気軽に買えると言う訳ではない。
 金持ちの住宅街などでは、配達も有るが、ほとんどは交差点の売り子か、雑貨屋、ミニスーパーの店頭販売である。
新 聞、Perio'dico  日本の新聞とくらべて違うところはいくつか有るが、その一つは、専門紙が少なく、総合紙がカバーしていることだろう。
 すなわち、例えばスポーツ関係の記事は、ページでなく分冊として、ついてくるスタイルである。
 左のEl Heraldo紙でいうと、10ページの地方版、8ページの全国版、16ページのスポーツ版、20ページの芸能版、6ページの社交版がセットになっている。
 ただし、スポーツと芸能はサイズが半分になっている。
elheraldo
私の街の総合紙の一つ、5部構成


tops  畳み込まれている5部の一番上になっているのは地方版だ(写真左側)。  開いてまず気がつくのは、テレビ、ラジオの番組欄がないことだ。 これはテレビガイドが別に売られていて、そこに1週間分が予告記事付きで載っているからだ。 宅配がなく殆どの人が、気が向いたら買うということを考えると、1週間分載っているテレビガイドの方が役に立つと言う訳だ。
 天気予報も日中の最低、最高気温しか載っていない、天候は雨期と乾季の差だけで、日本のように一日のうちに晴れたり、雨が降ったりすることは少ないから、これで用が足りるのだろう。
 この日のトップ記事は、カソリックの司教が若者達に物質至上主義に冒されないようにしなさいと説いた記事だ。 カソリック教徒が9割以上という、この国ならではだろう。こういう道徳教育めいたことは、日本でだったら、いわゆる識者と呼ばれる人たちが言うところだが、市民への影響力はどんなものであろうか。
 全国版は政治、経済と国際的なトピックスが載っているが経済欄には為替は有るが株式市況は載っていない。
 地方版、全国版共に一面に主要記事がくるが、各記事は殆どが尻切れとんぼになっていて、続きは次ページ以降に続くようになっている。


deportes  テレビでもそうだが、闘牛はスポーツとして扱われる。 国民的人気はダントツでプロサッカーだが、前日に試合がなかったので、トップから3ページを闘牛が占めている。 サブの見出しに「6頭の耳が切り落とされた」とある一方で、動物愛護協会員の抗議活動も、小さくではあるが、写真入りで報じられているのが面白い。
 続く2ページは、やや意外な感じがするが、テニスとなっている、ただ話題はもっぱら海外の著名なプレーヤーの近況だ。
 そして、ボクシングとアメリカのバスケットボールリーグの1ページに続いて、試合はなかったとは言え、サッカーのニュースが5ページを占める。 国内、海外のニュースがほぼ半々と言ったところだが、最近不調の選抜チーム監督の進退が大きく扱われている。
 そして、最後の5ページが野球だ。 ちょうどカリブシリーズなる国際トーナメントで、メキシコがベネズェラを破って決勝に進出した事もあって、そのページの写真はカラーとなっている。 2部リーグのニュースも有って、コカ・コーラチームがトルティージャ屋の「黒んぼ」チームを22-6で破ったと言う微笑ましい記事も有る。 野球はサッカーに次ぐ人気スポーツで、お隣りアメリカの大リーグで多くのメキシカンプレーヤーが活躍しており、シーズン中は彼等の前日の活躍ぶりが逐一報道される。
 ちなみに、このあと、カリブシリーズはメキシコの善戦及ばず、サミー・ソーサを生んだドミニカが優勝した。


entertainment  トップのトムクルーズ離婚のニュースを見れば、芸能ニュースに国境はない事が分かろうと言うものだが、驚いた事に20ページ中15ページは広告となっている。 それだけ、芸能ページの読まれ方が多いという事なのだろう。
 映画やケーブルテレビの広告はかなり大きめだが、後は50文字から150文字程度のもので、個人的な売りたし、買いたしや、求職求人広告がびっしりと並んでいる。
 売りたしには、子犬や中古のテレビの他、タコス屋の屋台まである。 求人広告には報酬の出ているのもあるが、週給7,500円などというのもあり、日本との格差に驚かされる。
 これらを一つ一つ見て行く方が、他のページのニュースを読むより、この国の実態が分かるような気さえする。
 成人映画の広告には、年令を確認するため、選挙の有権者カードを持参するようにと書いてある。 ちなみにこのカードは顔写真付きのクレジットカードのようになっており、なにかにつけ身分証明書の役割を果たす。


social  以上は形は多少違っても、日本にもある新聞だが、この社交欄だけは日本には無いものだろう。
 結婚式をはじめ、女の子が15歳になった時ウェディングドレスと同じものを着てするお披露目の式、赤ん坊が洗礼を受ける式(トップのカラーページ)などの紹介が、主な対象になる。
 被写体は名士や芸能人だけではない。 さらに式の主役だけでなく参加した親戚や知人たちも登場する。
 私のような外国人には、見ず知らずの人の登場するページに何の興味も持てないが、人と人のつながりの泥臭いこの社会では、どっかで誰かと繋がっているという事が多いようで、人々のこのページへの関心は高いようだ。
 そして、このページが成り立つもう一つのからくりがある。 例えば、ゴルフクラブでコンペがあれば、それもこの欄で紹介され私も登場した事がある。 さらにいうと、私が日本に一時帰国する際、ひと騒ぎするネタにと、仲間が送別会を開いてくれた事があり、それも新聞に載った。 ともにその宴席には、地元新聞の記者が招待されて、カメラを首にかけ、一緒に飲んだり喰ったり騒いだりしていた。 この国の新聞記者の社会的地位は低い、中にはテープレコーダーとカメラだけ持って歩いて、自分では記事が書けないのも少なくないという。 こういう連中はどっかでただ酒、ただ飯にあるつけるとなると出かけて行って、そのお礼に翌日の新聞に載せるという訳なのだ。 さらに参加者の自宅をまわって歩けば、いい値段で写真も買って貰えるという余禄がある。

 スペイン語で新聞を読むのは私なんかには難しいし、面倒臭い。 国際的なニュースならインターネットで日本のサイトへ行けば用が足りる。 メキシコのニュースもウェブサイトの方が、要約されていて分かりやすい。 でも、やはり時には新聞を見たいと言う気になるのは何故だろうか。
 メキシコの新聞を見ていると、インターネット時代に生き残る新聞のあり方を見ているような気がする。
 つまり、ニュース性ではテレビやインターネットにかなわないが、社交欄や求人広告欄などの、地域の人たちの体臭が伝わるような記事に活路があるのではないかという気がする。