♪♪Llora やつは泣いてる♪♪
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 メキシコは日本同様火山国で地震が結構多い、ただ違うのは震源が大平洋沿岸に限定されているのと国土が日本の5倍あるので、国中どこでも揺れるという印象はない。
 東海地方の下に潜り込む大平洋海底プレートは、メキシコの大平洋海岸地帯から沸き出していることは意外と知られていない。
 もっと知られていないのは関東大震災の時諸外国が日本に資金援助したが、メキシコは金額で、あまり記憶に自信はないが、4、5番目であったということだ。
温 泉

 前置きが長くなったが、だからメキシコにも温泉がある。
 私の町の名前Aguascalientesは「温泉」という意味で、周辺には活火山はないが温泉が出る。
 途上国にいる日本人達が、その国の治安や衛生状態を好んで怖がるように、この温泉も病気を拾ってくるとかなんとか言うので、私も半分真に受けて、恥ずかしながら行ったことがなかった。
 ハカランダの花の見ごろが近付いた4月のある日、被写体の候補の下見の途上通りかかったので、覗いてみた。
 その名はサン・ラモンの湯、Tel. 970-0721。
pasillo

entrada  それは、かってこの町が国鉄の町と言われ、国鉄族が肩で風を切って歩いた頃の幹部職員クラブであったアラメダ・ホテルと道を挟んで隣接する、このあたりでは珍しい鬱蒼とした木立の中にあった。
 温泉と言えば日本のそれしか知らない私でも、温泉町ではないから湯の香りは期待していなかったし、もちろん浴衣で歩き回る破廉恥な男女の姿も想像はしていなかった。
 だがそれにしても建物迄のアクセスのこの雰囲気は意外であった。 まるで高級ホテルか、レストランのそれのようだ。
 壁に1,808年開業とあるから、想像だが当時の庶民達が気軽に通えたとは思えない、豊かな階層の慰安の場だったのではないだろうか。


jacaranda  だがその意外さは浴場施設に辿り着くと逆方向に転換する。 つまり、ペンキのはげ落ちが目立つ建物に客の気配はなく、駄犬が物憂気に歩いているのだ。(冒頭写真)
 アーチをくぐった左に受け付け兼キオスコがあるが、ここにも人は居らず、目やにで赤くなった目の掃除の老人が、すぐ戻ってくるよと黄色い歯を剥いて笑った。
 構内は全長100m弱のコの字状の通路があり、その両側に3、40ほどのドアがある。 これも勝手に想像していたのだが公衆浴場スタイルではなく個室なのだ。
 中の景観は柱廊や噴水があり、多くの鉢植えと折しも五分咲きの紫のハカランダのおかげで古いメキシコの田舎町の雰囲気があり外人客には受けるかも知れない、だがお世辞にも豪華さはない。

bano  個室は大小いろいろあるが、共通しているのは、ドアを開けて入るとすぐのところが脱衣場になっており、2、3から4、5段下がったところに浴槽がある。 深さは日本の温泉なみで大きさは二人並ぶのがやっとのから6、7m四方ぐらいの迄ある。
 日本の温泉を想像していると基本的に奇妙に思われるのは、どの部屋も窓と言うものがない。 吹き抜けになっていて青空の望めるところはあるが、外の風景と言うものはいっさい見えない。
 ここの温泉とはひたすら薬湯に浸かり治療することが目的で、海が見えるとか、雪景色が綺麗だとか言う、遊山の要素はないのではないだろうか。
 ちなみに、ここの湯は38度でリューマチに良いとのこと。
 料金は利用者の人数と大人、子供の構成によって異なるが、大雑把に言って、一人一時間2、3百円で、時間あたりにすれば映画の2、3倍となり、これから見てもこれは庶民のレジャーとは言えないのではないだろうか。
 辞書を引いて、「温泉」とあればついつい日本の温泉と関連づけて考えるけれど、ところ変われば品変わるではある。