♪♪Himno 国歌♪♪
<BGSOUND SRC="../sound/anthem.mid" width=80 height=18 autostart=true repeat=true loop=true border=0>
bandela
兵役義務
Servicio Militar

 メキシコ人男性は、18才になると1年間の兵役義務が有る。
 "Servicio Militar"は「軍事奉仕」と訳すのが適切かもしれないが、とにかくこの義務を果たさないとパスポートを貰う資格がない等の社会的ハンディキャップを負うことになる。
 訓練の形態は週末毎に軍隊の基地に出かけて行き受けるというもので、仕事、学業と両立できるようになっている。
 12月の第1土曜日に、終了証書の授与式が有ったので出かけてみた。
invitados
修了者の前を行進する兵士 授与式来賓各位


 軍隊の基地は、かっては町のはずれであった第二環状線沿いに有るが、今では新興住宅街と隣接することになっている。
 新興住宅街は緑も少なくコンクリートの固まりのような雰囲気なのに対し、ここは別世界だ。
 もともと乾燥して緑の少ないこの地方としては、こんもりと表現してもよい緑に包まれ、兵舎も新興住宅街のそれと較べるとこぎれいである。
 構内が撮影禁止になっているのは、何もないことが分かってはまづいからかと思わせるくらい、軍事機密らしいものは見当たらない、唯一見かけた戦車も完全な過去の記念品の旧式なものだった。
entrada
departamento
recinto
tanque

 たてまえは全員の義務であるが、キャパシティーの問題も有り、抽選で免除を受けられるものもいる。
 縁故や裏口も利くという話も有るが、外国人の私には定かなことは分からない。
 会場には定刻の1時間前に着いたが、既に700人前後の若者が、兵士の指導を受け、入念にリハーサルをしていた。
 あとで分かったのだが、会場に入り切れない若者が約2倍、他の広場で待っていたから、合計で2千人ぐらいだ。
 赤い帽子と、白いTシャツが支給のユニフォームで、ズボンは自前だがジーンズで統一されている。
 彼等の名誉の為に言うと、この写真はパノラマ合成の為、列が乱れて見えるが、なかなかきちんと整列しており、気をつけ、休め、敬礼等の姿勢もトランペットの合図一つでよく揃っていた。
panorama

entrega  トランペットが鳴り響き、本物の兵士達による国旗の入場行進、国歌の吹奏、来賓の紹介挨拶のあと、いよいよ証書が授与される。
 代表者の名が呼び上げられると10人が横一列で、来賓席迄歩調をとって進み出る。
 代表は3組だったが、なかに1年も訓練を受けたとはとても思えない程、歩調の揃わない組がいた。
 これで分かったのだが、2年前ここの州政権が野党に移ってから、いわゆる軍事教練より、社会奉仕活動に力点が移されたのだ。
 聞けば、あるものは小学校の代用教員をつとめ、またあるものは地域の公共事業に参加し、さらにあるものは州を代表するスポーツチームの選手となり地域に奉仕するのだと言う。
 軍に奉仕するより、国民に奉仕することが国を守ることに寄与するという発想で、どこやらの国の首相が、提唱しても相手にされないことを、ここで既に実現させているのだ。
 超軍事大国アメリカと国境を接し、北米経済圏の一員として、すでにこの圏の血であり、肉となりつつあるメキシコが軍事力で国を守ることの無意味さを考えると、まことに現実的な方針転換と言える。
 ちなみに、この野党は今年70年の一党支配の歴史を破り、21世紀最初の大統領を生み出した。


cartilla  この奉仕活動に参加する目的は、義務だからやむなくと言うものも勿論居るが、我が家の庭師のように軍隊に入ってパイロットになりたいなど、様々である。
 だが、共通しているのは、これでパスポートが貰えるということである。
 貧しいこの国の若者にとって、アメリカへ行って職を得ると言うことは、非常に大きな夢である。
 だが(彼等自身も意識していないかもしれないが)パスポートを貰うもっと大きな意味は、この国の国民であることの認知に他ならない。
 パスポートは確かに「旅券」にほかならない、だが国を出て、それを無くせば、自国に入ることが出来ない、つまりお前は国民ではないと言うことなのだ。
 日本のパスポートが、航空券と同程度の重要さにしか認識されないのは、お金さえ払えば簡単に手に入るからではないだろうか。
 メキシコの若者達は社会の為に自ら汗を流し、その成果として国民の証を貰うのである。
 今の時代、戦争で国が危うくなるようなことは無いかもしれない、だが戦争以外にだって多くの危機が襲ってくることは考えられる。
 そんな時、国を守ろうと言う意識はどこから湧いてくるのだろうか。
 日本から仕事でやって来て、ゴルフにうち興じている軟弱そうな若者達と、このメキシコの若者達と較べると羨ましささえ感じてしまう。