♪♪Por amor 愛ゆえに♪♪
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 必要は発明の母と言う。 だが多くの発明は一旦考案者の考えた「必要」を満たすと、一人歩きを始める。 テレビの発明者は誰なのか寡聞にして知らないが、今日の使われ方を予知していただろうか。 私はニュース、ドキュメンタリー、スポーツ番組以外は殆どテレビを見ないので、テレビを語る資格はない。 それでも、テレビが、大衆(愚衆と言った方が適切かも知れないが)娯楽の道具と成り果てているのは分かる。 そして、それは日本でもメキシコでも同じなのだ。
 大衆と言うものに国境がないことの証左なのかも知れない。
テレビ Televisio'n  1,997年の統計によれば、メキシコのテレビ局は600局をこえている。
 加えて、今や衛星テレビ時代で、金さえ払えばアメリカのおびただしい数の局の放送が見られる。 私の住む町(州都、人口60万)でも一般局が8チャンネル有るが、1局を除いてはどれもこれも、似たような番組を流している。 そして驚くことは、お互いが似ているだけでなく、日本の民放各局ともひどく似ているのだ。 私が日本に居る頃、よくもまあ各局はいろんな番組を考え付くものだと、半ば呆れていたものだが、それがそっくりこちらにも有るのだ。
 以下にそれを御紹介しよう。
comedia
視聴率80% ? 人気コメディー番組


noticia ニュース:
 メキシコの朝は早い、工業関係では7時から操業開始の企業が多い。
 従って、朝のニュースは6時から始まるのが多いようだ。
 殆どの局は男女一組のレギュラーニュースキャスターがスタジオに居て進行役をつとめ、レポーターが現場実況したり、ヘリコプターからの情報も流す。
 こういうスタイルは日本と変わらないが、報道の中味にはやはりお国柄が反映される。
 例えば、事故の死傷者や殺人事件の被害者など、顔を背けたくなるような血なまぐさいのを、そのまま流したり、拘留中の事件の容疑者を実名付きで登場させたり、ときにはインタビューさえする。 警察も凶器を持ってポーズを取らせたりして取材に協力している。
 ゲストを招いての時事解説等も有るが、日本と違うのは、喋るばかりで、ビジュアルな資料は殆ど使わない。
 天気予報は、衛星からの画像を使ったりもするが、台風が来た時以外は天気の安定したこの国では、殆ど毎日同じで、むしろ滑稽でさえある。
 株価、為替の変動も報じられるが、数字が出るだけで、最近の動きをグラフにしたようなものは出ない。
 スポーツニュースは極めてあっさりしていて、例えばテニスを例にとると、二人のプレーヤーが打ち合っているところを流すだけで、マッチポイントを決めたような、いわゆる決定的瞬間を流すとは限らない。
 朝のニュースは1時間ごとに内容を更新しながら9時迄続く、その後は午後3時、9時頃に1時間ものが流れる。 日本より少し遅いが、これは昼食夜食の時間を反映しているのだろう。
 その他、5分程度のスポットニュースが適宜挟まるが、臨時ニュースは滅多に流れない。
 最後にこの国のニュースの特徴は、大統領の行動を殆ど毎日報道することだ。

melodrama ドラマ・映画番組:
 テレビドラマは実に多い、日本以上だと思われる。
 歴史ものの大河ドラマやアクションものも有るが、男女の愛憎の葛藤をテーマにしたものが圧倒的に多いようだ。
 日本では、どこにでも有るような家庭が舞台になることが多く、聴視者の多くはドラマに身近なもの、他人事ではないものを感じるのだが、メキシコでは少し事情が違うようだ。
 まず登場人物は欧州系白人またはその血を濃く引いた、ウェロ(男)ウェラ(女)が殆どで、国民の2割程度しか居ない人たちだ。 ドラマの舞台も富裕階層であることが多く、制服の家政婦が居る豪邸、高級レストラン、五つ星ホテル、高級乗用車等々がふんだんに登場する。 一昔前の日本映画が美男美女による夢物語的だったのに一脈通じるものが有るようだ。
 日本のドラマでは食事場面が実に多いが、これに匹敵するのがこちらでは罵りあう場面だ。 自己主張の強い国民性の反映かとも思われる。 もともと語尾が母音で終わるスペイン語はきつく響くが、これにジェスチャーが加わるから凄い。 特に女性同士の場合は濃いメーキャップが加わるから、男性同士以上に迫力が有る。 実地にこんな剣幕でやられたら、私なんぞは言葉も出なくなるであろうが、そういう場面に遭遇したことはないのは何故だろうか。
 映画も一般のチャンネルでさえ、週日で日に10本、週末には15本位有り、これに有料テレビが加わるとおびただしい数になる。 これだけ、テレビで映画が放映されれば、映画館が廃れてもおかしくないのだが、映画のページで紹介したようにこれが大繁盛なのだ。
 現実離れしたテレビドラマや映画に人気が有ると言うことは、苦しい日常生活の裏返しの反映なのかも知れない。
 

pregunta ショウ型娯楽番組:
 朝9時になると、待ちかねたように各種娯楽番組がスタートする。
 そしてその種類の多さだけでなく、日本の番組との類似性に驚きを禁じ得ない。
 私は昔の日本の番組しか知らないから、それとの比較で言うと、各種クイズ、笑っていいとも式のスターを招いて舞台でドタバタを演ずるタイプ、8時だよ全員集合式のタレント達が珍奇な服装で演ずるコメディー、ちびっ子タレントものまねコンテスト、ドッキリカメラ、等々枚挙に暇なく、日本に有ってこちらに無いものはないくらいである。
 逆にこちらにしか無いと思われるものに、もめ事のある地域住民ふた組を舞台の上によんで、司会者が双方の言い分を聞き、もめ事をあおるという番組が有る。
 観客もそれぞれに一方の肩を持ち、やいやいと声援する。 そしてクライマックスに達すると、おかみさん同士が髪の毛を掴み合っての乱闘に迄発展し、制服の警備員が割って入り番組が終わる。 まあなんとも、井戸端会議好きな庶民の心理を巧みにつかまえた番組ではある。
 庶民の番組といえば、この主の番組の登場者は上記のドラマ番組とははっきり違うのが分かる。 クイズ番組も決してレベルは高くなく、「春夏秋冬で一番寒いのはいつ?」等と、外国人の私でも答えられるようなのが結構ある。 その割に賞品は豪華で、庶民には高嶺の花の車があったり、現金でも円換算で数十万円をこえる場合も少なくない。 こちらの庶民の生活水準からすると、数百万円の価値があり、クイズそのものよりも、回答者がいかに高額の賞品を貰うかに関心があるのだろう。
 この国には視聴率という仕組みはないが、最も多く見られている番組は、このページのトップにある写真のコメディーで、視聴率は8割をこえるという。 8割という数字の信ぴょう性はともかくとして、このクリームケーキや小麦粉をぶつけあうタイプのドタバタナンセンス番組が、他の番組にダントツの差をつけているのは確かなようだ。


bolero 教育・文化番組:
 がちゃがちゃとコマーシャリズムにまみれた番組が多い中、少し気取って、しっとりと落ち着いたチャンネルも有る。
 各地の自然や歴史・風俗・伝統芸能等を紹介したものでは、単に珍しいだけでなくカメラワークや色彩がすばらしいものが多い。
 国内のものばかりでなく、海外で造られた同様な番組や、ビートルズやアッバ等往年の音楽家のコンサートの再放送、著名な絵画館、博物館の紹介なども有る。
 また、料理番組も手の込んだ本格的なメキシコ料理が中心で、まだファーストフードに席巻されていないこの国の食事文化を感じさせられる。
 更に、このチャンネルのもうひとつの特徴は子供番組が多いことだ。 他のチャンネルの子供向けはアニメが圧倒的で、しかもポケモンとかサッカーもの等の日本製が幅を聞かせているが、このチャンネルでは歌のおばさん的NHK的なものが多い。
 この国のテレビは全て民放であるから、コマーシャルはつきものであるが、このチャンネルでは数も少なく、チャラチャラしたものは少なく、チャンネルの性格を意識しているように見える。
 と、なると経営的にどうなんだろうと気になるが、この国のテレビ局は同じ資本下に複数のチャンネルがあるケースが多く、採算度外視のチャンネルがまだ生き残っていけるようである。


deporte スポーツ番組:
 スポーツ中継も多いが、バラエティーはといえば殆どサッカーだけといってもいい。
 18チームからなるプロリーグが、土日と水曜日の週3日、全て放送される。 年2シリーズだがシーズンオフは2、3週間しかないから、殆ど年中やっている。
 放送技術もなかなかのもので、ゴールのシーンをアニメに切り替えて、プレーヤーと球の位置関係を立体的に解説したりもする。
 サッカーに限らないが、こちらのスポーツ放送の特徴の一つはアナウンサーが喋りまくることだ。 ラジオじゃなく、画面を見ていれば分かるんだから、少し黙っていて欲しいと思う。
 サッカーの他はぐっと数が減って、闘牛、プロレス、ボクシング等ショー的なものが続き、スポーツ人口としてはサッカーの次に多い野球やバスケットはお隣アメリカのものは時折放映されるが、国内のものが取り上げられることは殆どない。
 野球はプロリーグが有るのだが、優れたプレーヤーはアメリカに流れ、スポーツニュースでは前日のメジャーリーグでのメキシカンの活躍ぶりが報じられる。 イチロー現象はメキシコの方が先輩と言える。
 有料テレビではアメフト、アイスホッケー等アメリカのスポーツ番組が総て見られるが、ワールドシリーズやスーパーボールはメキシコの放送局が買って流すので、一般のテレビでも見られる。 然し、さすがにゴルフとなるとプレー人口は殆ど居ないといってよく、マスターズなどは有料テレビで見るほかない。