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Sabado Distrito Federal
土曜日に首都で



動 物 園
Zologico


 大気汚染がひどいと言われながらも、東京にくらべれば、はるかに緑の濃いメキシコシティー、その中でも一段と鬱蒼とした樹々に覆われた一画がチャプルテペック公園だ。
 そこに博物館や美術館に混ざッて数棟の高層ホテルがあり、日本人観光客が好んで使うホテル・ニッコーもその中にある。
 そのホテルの人気の一つが、朝食にオカユ定食のメニューがあるからだと聞く。
edificiosaltos  三十数階建てのそのビルの足下にチャプルテペック動物園がある。
 だが、そこを訪れる日本人観光客は殆どいない。
 メキシコに来て迄わざわざ動物園に行くこともあるまい、と言うのは分からなくもない。
 だったら、メキシコに来て迄わざわざオカユを喰うこともあるまいと言いたいのだが、、、

衣食足って礼節を知るという格言のとおり、貧しいメキシコの人々の公衆道徳は高いとは言えない。
いきおい公園等の公共施設は、お世辞にもきれいとは言えないのが多い。
十数年前、動物園は貧しい人々の行くところで、日本人は近寄らない方がいいと、したり顔に言われたことがあった。
言い訳がましいが、そんな言葉を真に受けて、恥ずかしながら動物園には行ったことがなかった。
それが、日本の上野動物園からパンダがお見合いに来たと言うニュースを聞いたのを切っ掛けに行ってみた。
どんな動物がいるかは、世界中の大きな動物園なら居るであろうものは殆ど居て特筆すべきことはないが、
そのきれいさと自然な環境設定にはひどく感心すると同時に、反対の状況を期待して行った自分が恥ずかしかった。

公園の入り口から動物園の入り口迄は屋台が並び、食べ物や安っぽいぷらスティックの玩具等を売っている。
なかで、車輪つきスーツケースを引っぱるバンドのようなものを売っているのが目についた。
聞けば、子供がはぐれないよう、犬の鎖よろしく繋ぐのだと言う。
そう言えば、日本の動物園にはつきものの、迷子案内等の場内放送と言うものが聞こえなかった。
週日の午前中とあって、訪れる人は少ない。 ちなみに週日は入場無料。
tianguisa entrada


guia  園の広さはどこにも表示がなく、入り口で聞いても分からなかったが、感じでは多摩自然動物園ぐらいではないかと思う。
 園内は、サファリ、熱帯、温帯、鳥類と大きく四つの区画に分かれている。
 それぞれの動物の本来の住環境にあわせて造園されているが、やはり地元の熱帯樹林の区画が一番雰囲気が出ている。
 動物と見物人の境は檻のようなものは少なく、自然動物園風だが、概して一つの区画が広く、多摩自然動物園のように動物が同じところを行ったり来たりと言う感じではない。
 不思議なことに、動物園特有の糞尿の臭いが殆どしないのは、乾燥した空気と広さのせいだろうか。
 巡回路には、およそ目の届かないところはないぐらい大勢の係員が配置されている、飲食物の持ち歩きは禁止されているらしく、屑篭と言うものが見当たらないのに、ゴミが全く落ちていない。


panda_2  さて、この動物園行きを思い立ったパンダは3頭居り、それぞれが幼稚園の庭のような個室でゴロゴロしていた。
 手前の一頭の後ろにもう一頭が見える、三頭目は本日は休日とのことだった。
 日本でパンダを見た時には、その可愛い姿態が汚い地面で尻を汚しているのが、なんともアンバランスだったが、ここにはそういう不潔感がない。
 どちらが本来の姿かは知らぬが、子供達がぬいぐるみ等から感じているイメージを崩さないのは、ここのパンダだろう。
 ここのパンダの自慢は自然交配で生まれたということで、上野のパンダもそれを期待して送り込まれたのだが、人間達のよこしまな思惑をよそに、快適な4ヶ月のメキシコ旅行を堪能して帰って行ってしまった。


chinpangi  パンダのところもそうだが、動物との境にガラスが使われているところが多い。
 人懐っこい動物などは、ガラスに寄って来て見物人の動作に反応したりして、可愛さひとしおだ。
 さすがに、象や、トラ、ライオン等の居住区は壕等で隔てられているが、草や樹木、自然の石等で造られていて、コンクリートの肌が剥き出しのところは殆どない。
 また大勢の人が立ち止まりそうなところは、通路が上下2段になり、前列の人達の頭越しに見られるようになっている。
 右の写真は虎の居住区で、奥の茂みに白っぽく見える。
caida

 たいていの動物園は、犬の連れ込みお断りだろうが、ここは犬が居る数少ない動物園ではなかろうか。  と言っても、普通の犬ではなく、メキシコにだけ古来から居る犬だ。
 その名をソロイツクィントゥレ(xoloitzcuintle)と舌を噛みそうな名前だが、叉の名を「アステカ犬」または「メキシコの禿げ」ともいう。
 禿げといえば人間の場合、頭に毛がないのだが、彼等は逆に頭にだけ毛が有り体毛と言うものがない。
xoloitzcuintle  体温が40度くらいあるとかで、古代の人々は寒い時に彼等を抱いて寝たと言う。
 また、牛や豚や馬等の家畜がいなかった古代には貴重な食肉だった。 今では食べ尽くされて絶滅に瀕していると言い、町中で見かけることはない。
 なおちなみに食肉といえば、七面鳥はメキシコインディアンが家禽としていたものがヨーロッパに伝わったものである。

terraza  園のほぼ中央に唯一の飲食の場所がある。
 ここでサービスされる、飲料、食料はコカ・コーラであり、マクドナルドであり、フライドチキンであり、ドミノピザであり、見事な迄にローカルな食料はない。
 動物園の入り口付近に連なる、屋台の列がローカル色一色なのと好対照だ。
 また、各獣舎の前にはその動物の学名、棲息分布、特徴等を記したきれいな看板があるが、これら総てに大企業のロゴが入っている。
 この動物園は、週日が無料であることからも分かる通り、勿論公共のものであるが、大企業とギブ・アンド・テイクで貧しい財政を補っているのであろう。
senal

 所詮人は動物を犠牲にせずには生きていけない。
 だから、行き過ぎた動物愛護活動などというものは私には偽善行為にしか映らない。
 この国にも自然保護を旗印にする政党がある。
 自然を破壊し、動物を犠牲にすることによって経済的に豊かになった自称先進国達が、いまさら自然保護を唱えるのはエゴとして笑えるが、人の生活すら満足でないこの国でそのお先棒を担ぐのは、どういう人達なのだろうか。
 この動物園の動物達も本来の棲息環境からは程遠い人工的な環境での生活をしいられている可哀想な存在ではあるが、少なくとも明日の食べ物を案じるということはない。
 ここを訪れる人々のなかには、我が身を振り返り羨ましさを感じる人も少なくないのではなかろうか。

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